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■ 「てんかん」についての障害認定
〇 Cさん(女性 20代)の障害基礎年金請求 「不該当」
Cさんは、幼稚園時代に、すべり台から転げ落ち、頭を強く
打ち、頭部陥没骨折した。頭部骨折は完治したものの、
「非常に短い時間ではあるが、意識消失」となる発作(欠
伸発作)を起こすようになった。
度重なる発作で、小学校中学校時代は欠席も多かった。
障害年金申請のための相談時も、ご家族が、ご本人は気づ
かないものの「月に一回は発作を起すため、薬は服用してい
るが、Cさんが入浴するときも、浴室の外で見守りが必要で
す。包丁も持たせたくないです。」と話してくれた。
ある総合病院の神経内科に通院も続けているが、日常生活
に不自由さは理解できた。精神障害者福祉手帳の更新手続
きを行ったところ、障害等級が3級から2級に変更された
と。症状が悪化したのであれば、障害年金も受給できるの
ではないとの相談だった。
■ てんかんの認定は、他の疾病に比べて、難しいと考えています。
この難しい場合とは、てんかん発作のみのてんかんで、精神症状(うつ病、統合失調症など)を伴わない場合
です。
①また、「認定基準より、てんかん発作が薬物により抑制されている場合は対象外となります。」
②さらに、裁判例(平成18年)では、服薬を自分でやめてしまい、てんかん発作が起きた場合も認定対象外と
なります。
(以上、一概には「てんかんや薬物療法で抑えられる」と言われます。しかし、発作が度重なると「日常生
活に大変支障が出てきます。そして、てんかんは多彩です。
そこで、
③ 平成22年(2010年)11月1日に認定基準が改正されました。(以下)
■ それまでは発作の頻度だけで認定されていたものが、発作の程度とその頻度の両方で認定されることになり
ました。
等級 | 症状 |
---|---|
1級 | 十分な治療にもかかわらず、てんかん性発作のAまたはBが月に1回以上あり、かつ、常に介護を 必要とする。 |
2級 | 十分な治療にもかかわらず、てんかん性発作のAまたはBが年2回以上、もしくは、CまたはDが 月に1回以上あり、かつ、日常生活が著しく制限を受けるもの |
3級 | 十分な治療にもかかわらず、てんかん性発作のAまたはBが年2回未満、もしくは、CまたはDが 月1秋未満あり、かつ、労働が制限を受けるもの |
※十分な治療とは「クスリをきちんと服用しているということ」
発作のタイプは以下に
A:意識障害があり、状況にそぐわない行為を示す発作
B:意識障害の有る無しに関わらず、転倒する発作
C:意識を失い、行為が途絶えるが、倒れない発作
D:意識障害は無いが、随意運動を損なう発作
この認定基準ですと、「てんかん」で障害年金をもっともらえてもいいと思われますが、実際はそうではないように思われます(私見)
■ 障害年金申請時の「てんかん」の診断書は「精神」の診断書
が使用される。
□ しかし、てんかん患者の多くが受診するのは「神経内科」や
「脳神経外科」である。
(問題点)
「神経内科」や「脳神経外科」の医師に、精神科や心療内科の
医師のように、患者の「日常生活能力」についての「すき間(行間)」に理解をします医師は多くはないのです。
(カルテには、日常生活能力は書かれていないと思われます)
つまり、「てんかん発作がないとき」は日常生活の不自由さは無いと割り切られてしまい、日常生活に問題はないと評価されてしまう。 |
□てんかんの「日常生活能力」の判定はについては、医師や日本年金機構は、「低くない」という認定で不支給が多い。現に、私も、一度、「てんかん」のみで障害年金の申請をしたが、「不支給」。そして不服申立手も行ったが「却下」された。
しかし、こんな判決が2013年5月23日に名古屋地裁であった。
その要旨は、「生活能力判定の無い診断書」で障害年金2級と判決があったのです。
□障害年金申請時の精神の診断書の様式では、「てんかん」の症状を適切に表示できないと思います。やはり、て
んかんで、「日常生活の不自由さ」を説明できる「てんかん」用の診断書が必要ではないかと思います。上記の
名古屋地裁の判決が、それ以降、判例となっていないようにも思われます。
まだまだ、てんかん患者の皆さんには、高いハードルです。